不倫慰謝料を請求された際に、不倫の証拠を突きつけられ、そのまま相手の要求通りの慰謝料を支払ってしまう方も少なくありません。実際に、言い逃れできない確固たる証拠があるのに、大幅に慰謝料が減額されたことに驚く方を、弁護士として活動する中で多く見てきました。今回のコラムでは、不倫の証拠があったとしても、慰謝料を減額できる理由を解説したいと思います。

不倫慰謝料が発生するかどうかとその額がいくらなのかは全く別問題

不貞行為を行い、不倫相手の平穏・円満な婚姻関係を侵害すると、その不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されることになります。その際に、法律的に問題となるのは、実際に本当に不貞行為があったのかどうかという点と、不貞行為があったとして、その侵害がどの程度なのか、言い換えると慰謝料はいくらになるのかという点です。

当然、不貞行為がそもそも存在しないとなると、慰謝料は発生しません。不倫慰謝料を請求された際に、相手方も何も根拠がないのに慰謝料を請求するということは通常ありえないので、当然何らかの不倫の事実を示す証拠を提示してくることになります。例えば、ホテルに一緒に入る場面の写真やLINE等のSNS上のやりとり等です。

しかし、不倫の事実があったとしても、その慰謝料がいくらなのかは、別に検討する必要があります。例えば、同じ不貞行為があったとしても、それによって相手夫婦が離婚してしまったら侵害の程度が大きいため、慰謝料の増額理由になります。逆に、もともと相手夫婦の婚姻関係が破綻していたような場合には、不貞行為から守られるべき円満な夫婦関係が存在しない以上、慰謝料も少額又は免除になります。

不倫の事実を示す証拠のみを突きつけられたとしても、そのことから直ちに相手の請求額が正当だと示す証拠にはならないのです。

不倫慰謝料を弁護士に相談すると多くのケースで減額される理由

突然ですが、ここに時価100万円の壷があったとします。その壷を割ってしまうと、損害賠償として100万円請求されることになるのが通常ですが、その際に、その壷の価値が100万円とわかっているので、話が単純になります。その100万円の壷を壊したという証拠とともに、100万円請求された場合に納得しない人はいないのではないでしょうか。

不倫の慰謝料の場合、守られるべき相手夫婦の平穏・円満な婚姻生活に値札がついてるはずはありませんし、浮気された配偶者の精神的負担を慰謝するに足りる金額の値段も目に見えるものではないため、一律にいくらと判断することは困難になります。

それらの判断には、関係者を取り巻く状況や不貞行為の回数や頻度、継続している期間など、様々な要素から総合的に考慮する必要があり、また、多くの専門的・法律的な知識が必要になります。ですので、法律の専門家である弁護士が、法律的・専門的観点から種々の状況を考慮することによって、多くのケースで慰謝料を減額する余地がでてくるのです。

不倫の証拠があっても慰謝料の額に悩んだら専門家に相談

不倫の事実がある以上、必要な慰謝料は支払うべきだと思いますが、相手の要求額が不相当な場合や、それが妥当かどうかわからない場合には、まずは弁護士に相談するのをオススメします。当事務所は、多くの離婚事件や、慰謝料請求の事件を扱ってきており、慰謝料の額の妥当性や減額できる要素をお探しすることができます。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。