弁護士が解説する不倫慰謝料を減額しやすい事例10選
前回のコラムでも解説しましたが、不倫で慰謝料を請求された場合、弁護士が交渉にあたることによって、多くのケースで減額できる可能性があります。
不倫慰謝料の額は、様々な事情を考慮して算定されるのですが、基本的に相手方の主張は相手方に有利な事情を基礎に算定されていることが多いため、請求された側の事情も考慮にいれると減額が多くの場合で可能になります。また、相手方の主張が全て正しいとは限らないので、その妥当性を吟味することも必要になります。
とは言うものの、法律や慰謝料の事案に詳しくないものが、それを判断するのは容易ではありません。そこで今回のコラムでは、どんなケースだと不倫慰謝料を減額しやすいのか、弁護士として実際に担当した事案をもとに、具体的なケースをご紹介したいと思います。
そもそも性交渉がないケース
法的に「不倫=不貞行為」があったか否かの判断は基準は、性交渉の有無が基準になります。ですので、そもそも性交渉やその類似行為が存在しない場合には、慰謝料が発生しない、または発生したとしても極めて小額になります。
ワンナイトの関係
不倫・浮気があったとしても、その回数が一度だけ、いわゆるワンナイトの関係であれば「平穏な夫婦生活の侵害」の度合いが小さいとも取れるため、相手夫婦の関係の減額の対象になる可能性があります。不貞行為には違いないので慰謝料を支払わなければなりませんが、少額で済む可能性が高いでしょう。
ダブル不倫の場合
ダブル不倫の場合、二組の夫婦が関係者となり、法律関係は複雑なのですが、もし二組とも婚姻関係を解消しない場合は、慰謝料を結果的に減額できる可能性があります。お互いの配偶者が、それぞれの不倫当事者に慰謝料請求が法律的には可能なため、それらを相殺することで、結果的に実際に支払う額は少なくなります。自分の配偶者の協力が前提となりますが、その協力を得られれば、大きく減額できる可能性があります。
相手の夫婦関係が破綻していた
不倫関係より前から、相手夫婦の関係が破綻していたような場合には、法律で保護されるべき相手の夫婦関係は既に失われている、または、減少しているといえますので、慰謝料も減額ないし免除できる可能性が高いです。
また、実際には相手夫婦の関係が破綻してはいなかったが、破綻していると言われていた場合には、円満な相手夫婦の関係を侵害している事実はあるので、慰謝料を支払う必要はありますが、侵害する意思がなかったと認定される場合がありますので、請求額を減額できる可能性があります。
浮気相手が結婚しているとは知らなかった場合
出会い系サイト、アプリなどで知り合い「既婚者とは全く知らなかった」などの場合には、大きく減額、場合よっては免除になる可能性もあります。不倫慰謝料を支払う義務を負うのは、侵害行為(不倫によって相手夫婦の関係を侵害する行為)に対する、故意や過失がある場合です。
相手から偽りの情報を与えられて、相手が既婚者だとは知らなかった場合には、故意は認められませんし、相手が既婚者だとは知らないことについて過失もなければ慰謝料は成立しません。ただ、例えば、「不倫相手が結婚指輪をしていた」ような場合に、いくら知らなかったと主張しても、それを見逃したことに過失が認められれば、慰謝料を支払う必要があります。
同じ不倫ですでに慰謝料を支払っている
不倫を繰り返し、すでに慰謝料を支払っている場合には、慰謝料を減額できる可能性は高いです。すでに慰謝料を支払っている以上、相手夫婦関係の破壊を新たに侵害したと認められない限り、大きく減額できる可能性が高いです。
不倫相手が離婚、別居をしていない場合
不倫相手が、不倫の結果、別居や離婚となった場合には、不倫によって相手の夫婦関係を侵害した度合いが大きいと判断され、慰謝料が大きくなるケースが多い反面、別居や離婚など具体的な侵害の事実が少ない場合には、慰謝料は減額できることがあります。
不倫がバレてから3年以上経過している
不倫による慰謝料請求にも、法律上時効があります。不倫の事実が相手の配偶者に知られてから3年以上経過している場合には、時効が成立していることがあります。時効が認められれば、当然、慰謝料を支払う義務がありません。
泥酔などしていて記憶がない
肉体関係を持ったこと事態が記憶になく、浮気相手から言われて初めてわかった場合は、慰謝料を減額、免除できる可能性があります。
不貞行為=不法行為が成立するためには、侵害行為に対する故意・過失が必要になります。ですので、泥酔していて、全く記憶がなければ故意や過失がないとして、減額・免除の可能性があります。
ただし、実際に交渉や裁判等で争った場合には、客観的に不貞行為が行われた事実やその証拠があれば、少なくとも過失は認められることが多く、それを反証するための事実が必要になります。
相手から誘ってきたり、不倫を断りずらい関係
不倫行為があったとしても、相手の方から強く誘われたような場合には、慰謝料を減額できる可能性があります。特に、相手が自分の有利な立場を利用して誘ってきた場合には、大きく減額できる可能性が高いです。
例えば、相手が自社の社長であったり取引先であったりするなど、上の立場や有利な立場を利用して関係を迫ってきた場合です。
不倫の慰謝料でお困りの際は、まずは弁護士に相談を
不倫の慰謝料は、様々な要因によって決まってきます。相手の請求額をそのまま支払うのではなく、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
相手の主張は正しいのかどうか、請求額が妥当がどうか、あなたの事情や主張から減額できる要素はないかなど、専門家の立場から、様々な角度から検証します。前回のコラムでもお話しましたが、多くの場合で、請求を減額できる可能性があります。
当サービスを運営している、やなだ総合法律事務所は、これまで多数の不倫慰謝料問題を解決まで導いてきた事務所です。経験豊富で実績のある弁護士があなたの問題に寄り添い、適切に対応します。
また、弁護士費用が気がかかりでまだ相談されていない方に対して、当事務所では初回相談を無料で承っています。そして、実際に依頼して頂いた際も、万が一減額できなかった場合のために着手金全額返金制度を設けています。
不倫の慰謝料を請求されてお悩みの方は、その慰謝料を支払う前に当事務所へご相談ください。
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